【四刺し】

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「こうやって彫り入れる部分を細かく分けることによって、期間がかなり空いてしまっても、つなぎ目や切れ目など一切なく、流れるように続きを彫ることが出来ますし、逆に、期間を詰め詰めで集中して行える場合は、先に彫った部分の腫れや痛みとは関係のない場所を選んで彫れるというわけです。どのような場合でも、最終的な仕上がりはまるで貴方の体にもう一つの生命が宿るような完璧なものに致します」 『完璧なものになるように致します』ではなく、『完璧なものに致します』と、断言する伊織の自信は、決して鼻につくような厭らしさはない。  刺青師としての誇りと、これまでの経験や努力、そして刺青に身も心も魂までをも捧げて来たという熱い思いが伝わり、清水は心の底から彼に依頼して良かったと感じた。
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