刺青師

【四刺し】

「転写？」

「ええ。下図を水で濡らして、彫りたい場所に貼り付けるんですよ。そのまま時間をおいて、和紙を剥がせば、そこにうっすらと下書きの線だけが残るので。そこに少々手直しを加えてから、筋彫りに入ります」

　業務的な口調で説明する内容は完結でいて分かり易い。

　冷たい感触がピッタリと貼りつくような感覚に変わる間に、状況を理解した清水はまな板の上の鯉のように大人しくなる。

「貴方は特殊な環境に身を置かれていらっしゃいますし、それ相応の覚悟をしてここにおいでになったかと思いますので、痛みについてはあまり心配はしていませんが……」

　傍に立つ伊織の顔をチラリと見上げると、彼の視線は施錠されているであろう棚へと向けられている。