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「皮膚の表面に針で色素を入れる入れ墨やタトゥー自体、日本の法律では医療行為なんですよ。実施するには当然、医師免許は必須。免許のない私はモグリなんですけれど、それでも怖くありませんか?」
「へ? そうなのか?」
まさかの切り返しに素っ頓狂な声を出すと、互いに顔を見合わせて笑った。
偶然とはいえ、このやり取りでピリピリと張り詰めていた空気は一気に和み、緊張などしていないと自分では思ってはいても、無意識に力が入って強張っていた清水の体から無駄な力が抜けた。
彼に刺青を依頼した時点である意味、自分の体を彼に委ねたのと同じこと。
常に柔和な空気を纏う彼に対して好感度はあれど、あまりに穏やかすぎて人間味を感じていなかったのも否めない。
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