【四刺し】

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 ようやく伊織の中に普通の人としての心を垣間見た気がした清水は、施術室にいる間は彼に自分の全てを任せようと心の奥底から思った。 「さて。そろそろですかね」  ピリリと端っこに爪をかけ、丁寧に和紙を外していくのを肌で感じつつ、これから自分の身に受ける痛みを想像しているところに筆が走る。 「うわっ」  突然、襲うくすぐったさに、ついピクリと体を跳ね上げた。 「ふふふ。まだ下書きの手直しですから。針を入れる時にはお声かけ致します。ただ、いくら痛みに強い方でも最初は誰もが唸り声をあげます。殴られる、蹴られる、カッターや包丁で指を切る。そんな安易に想像出来るようなものではありませんので」
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