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清水の呼吸音と自分の呼吸とを合わせる。
互いの呼吸と鼓動がリンクするように心を落ち着かせた。
脳裏に浮かぶのは青白い魂の炎。
その炎が一際大きく燃え盛った時、命が息づくような気配がした。
大きく息を吐き、気合いを入れると、カッと大きく目を見開く。
伊織が『刺青師』へと切り替わった瞬間である。
四本の鋭く尖った針がセッティングされたノミに墨をつけ、経験上、背面の中では比較的痛みがマシな上部の方にある髑髏の頭部の部分へとノミをあてがう。
無駄な肉がなく、隆々とした筋肉を見せる背面。
肩甲骨周りの棘下筋、大円筋、小円筋も見事である。
これならば、針を刺しても骨に近くはないため、痛みも普通の人よりかは幾分かマシ。
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