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会話でもしていなくては、時間が一向に過ぎる気配がないようにも感じられた。
だが、背中に気迫あふれるオーラをひしひしと感じれば、彼の顔を見なくとも、伊織が彫ることだけに、ただ一心に集中していることが分かるので、話しかけることも躊躇われる。
話しかけようか、かけまいか躊躇しているうちに時間は過ぎていく。
結局、静まり返った静寂な空間の中で、互いの呼吸音と皮膚を跳ねるノミの音を聴いているうちに、いつの間にか睡魔に襲われていた。
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