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「全員が全員そういう者だと、断言するつもりはありません。近衛騎士団入団時、王家への忠誠を最優先に誓わされてはいますが、連中がまず手駒にして使いたいと思うなら、まずはこういう者達でしょう」
「……確かにな」
面白く無さそうにその事実を認めたバイゼルに向かって、アルティナは若干申し訳なさそうに言葉を継いだ。
「勿論、借金を抱えて大金と引き換えに話に乗ったりする不心得者や、恋人や家族絡みで強要される者も出てくるかもしれませんが、全体で五千人を数える近衛騎士団所属の全員の身上調査を、緑騎士隊だけで行うのは、事実上不可能です。それに加えて緑騎士隊には暫く部隊を割いて、ラグランジェ国内の動向を探らせる他、名前が挙がった貴族やラグランジェ大使公邸やその他関係各所を徹底的に洗わせますので、ここに名前が挙がった者については、各隊で責任を持って監視及び調査をして頂きたいのです」
そう言って彼女が他の隊長達を見回すと、全員真顔で頷いた。
「なるほど……、道理だな」
「分かった。しっかり目を配っておこう」
「勿論、相手に気付かれない様にお願いします。それから休暇申請や、勤務変更の申し出があった場合、通常は隊長権限で処理が可能ですが、今後は団長に情報を集約して下さい」
その申し出に、バイゼルが片眉を僅かに上げながら問い返す。
「各隊で何人も一時期に王都勤務になったり、休暇を取得したら怪しいと?」
「何か事を起こす目安にはなるかと」
「そこまで露骨に人を動かすとも思えんが……。皆、分かったな?」
「はい」
「了解しました」
再度バイゼルが念を押すと、ナスリーンが頷いて静かに言い出した。
「確かに、アルティン隊長の指摘する通りですね。当面、一番気を付けなければいけないのは、白騎士隊と思われますが」
「ナスリーン隊長?」
「このリストに名前が挙がっている副隊長のリディアは、恐らくパーデリ公爵の庶子です」
「はぁ!? それは初耳ですが?」
「本人から聞いたんですか?」
さらりと説明された内容に、全員が驚愕してリストとナスリーンの顔を交互に見やりながら尋ねたが、彼女は落ち着き払って答えた。
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