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淡々と指摘してきた副官に、チャールズの顔が僅かに引き攣る。
「おい、サラッと俺を巻き込むな!」
「何を言っているんですか。我が隊の最高指揮官はあなたですよ?」
「分かってはいるがな!! お前繋がりで、真っ先に狙われるのは俺じゃないのか?」
「そうですね。念の為にアルティン同様、何かあった時には私を後任にする上申書を書いておいて頂けませんか?」
「おい!!」
「と言うのは冗談ですが」
「真顔で言うな!!」
そんな漫才めいたやり取りに、他の面々は揃って噴き出し、室内に存在していた緊迫感は見事に砕け散った。そして咳払いをしてその場を落ち着かせたバイゼルが、短く宣言する。
「それでは今後、より一層の警戒と備えを怠る事無く、日々務める様に。不埒な者達の陰謀など、事前に粉砕するぞ」
「はい!」
「勿論です!」
そして近衛騎士団の上層部は揃って力強く頷き、隊長達はカーネルから例のリストの、自分の隊に所属する分を受け取って、一斉にシャトナー伯爵邸を辞去して行った。
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