カウンセラーの白衣

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 浩之さんが分からないようなので、僕が真弓さん役になり、メモを読み上げることにした。少しアドリブを入れると断りを入れて。 「あなた、少しは上手くなった? 掃除をしている私に気付いている?」 「あ、ああ。だいぶスコアは減ったよ。お前もどうだ、今度打ちっぱなし行くか」 「あらお誘いが。掃除を終わらしたら私もやりたいのはやまやまなのよね。良い運動だし」 「なら、今からやりにいくか? 神宮にあるからさ」 「でも、今は掃除で忙しいから」 「そうか、じゃあ暇になったら誘うよ」再びパターの練習をする。 「え、それだけ? 掃除を手伝ってくれないの?」 「なるほど・・・」気付いたように真弓さんをまじまじと見る。 「隠れているんですね。気持ちが、それを組み取れていないのか、なるほど」 「どちらが悪いことではありません。ボタンの掛け違いですから。正しく掛ければケンカは起きません。これは夫婦関係でなくても、職場や友人関係でもありますから。特に男女の間です。女性は気持ちに敏感でも男性は疎い生き物です。逆に男性は論理的な意味を捉えやすく、女性はそれよりも感情や空気を先に捉えます。それを知ると、態度を変えることができますので、悲観することはありませんよ。どこにでもあることです」    
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