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パクは少し疲れた顔をしていた。
「順調?」
と聞くと、ひきつった笑みを浮かべた。
パクも引きこもりで採用された。
彼は一日中読書して過ごしているそうだ。
前回の採血で一緒になったときに知った。
テレビゲームは自宅ではたまにやっていたが、ここでは読書だけをする契約になっているそうだ。
採血室のドアの前で僕はパクに順番を譲った。
採血の作業をするのは全てロボットである。
背もたれのついたクッションのシートに腰掛けると、先端に針を取りつけた長いアームが伸びてきて、腕の内側の血管を一瞬刺して終わりである。
痛みもほとんど感じない。
微量の血液で検査が可能らしい。
採血を終わってもパクは座ったままだった。
「パク」
声をかけたが反応がない。
「パク?」
僕はパクの顔を覗きこんだ。
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