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病室は寝ている瞬と私のほかには誰もいなかった。心電図が映るサイドモニターから、呼吸を測る音だけが響いていた。
瞬、いつまで眠っているの? あなたが目覚めるのを私はずっと待っているんだ。
私のドジを笑ったって良いから。わがままだって聞いてあげるよ。だから、早く目覚めていつもみたいに笑ってよ。瞬がいないと世界が霞んでしまうんだ。
彼の手をとって頬ずりした。
私の描いた絵が最優秀賞に選ばれて、授賞式にのぞむ数分前に連絡が来た。瞬がバイクと衝突して意識を失った、と。少し前まで瞬に電話していたばかりだった。
授賞式には来ないで、なんて照れ隠ししなきゃ良かったと後悔した。
私が絵を描くことを一番応援してくれたのは瞬で、誰よりも先に受賞を報告したかったのも彼なのに。
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