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ババ様の家を出ると、蝋引きをしたケープと帽子を身にまとった、黒装束の少女が立っていた。
目深にかぶった帽子の奥が気だるげなのは、昔から変わっていない。
「来てたの」
「ああ、ババ様に会いに」
「そう」
俺と彼女の関係は古い。二人とも戦災孤児としてこの村に流れ着き、俺は酒場のマスターのところへ、彼女はババ様のところに引き取られた。
同じ時期に、同じ境遇で迎え入れられた俺たちは、共に過ごすことも多かった。
「なにかあったの?」
少し迷ったが、彼女ならこの話を真面目に聞いてくれると思い、ババ様の考えも含めて全てを話した。
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