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「仕組まれているって、いったい誰に」
「この現象を起こしている誰かでしょう」
「そんなこと、可能なのか」
「こんな大規模呪術は聞いたこともないけど、あなただけが別の結論にたどり着いている状況から考えれば、それが一番しっくりくる。多分、酒場で勇者様の話題を始めた人も、高い耐性があったんじゃないかしら」
小さな魔女はそこで持論の展開を止めて、俺を見据えた。
「あなたはどうしたいの」
「え?」
「こんなことを確認して、あなたはどうしたいの」
改めて問われると、答えはすぐに出なかった。
けれどいつの間にか、腰につけたナイフの鞘に触れていた。いつか非日常への鍵になると思っていた、不釣り合いな業物。
「まあ、聞くまでもないか」
彼女はババ様譲りの、全てを見透かしたような表情を浮かべた。
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