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「兄ちゃん、こっちに麦酒を追加だ」
「あいよっ、少々お待ちを」
今日は月に二度しかない定期便が到着する夜。冒険者たちで賑わう、酒場のかき入れ時だ。
「注文頼むぜ。こっちの戦士さんに果実酒を。勘定は俺に付けてな」
「こっちには大皿でジャンバラヤをくれ」
定期便の夜は冒険者たちにとっても、腰を据えて情報交換をできる貴重な機会だ。互いの親睦を深めるため、有益な情報の礼として、あちこちのテーブルで注文が入り乱れる。
「お前さん、ロザワの森はもう止めたほうがいい。ゴブリンどもの数が日に日に増してやがる」
「カミシャ国のお触れは事実なのか。あるものを見つけたものに金貨3枚なんて、大盤振る舞いだな」
「三葉の賢者が集まるらしいが、なにか始まるのかね」
俺は注文を聞き逃さないようにしつつも、冒険者たちの情報交換に聞き耳を立てる。なにせこちらは、対価なしで貴重な情報を聞き放題なのだ。
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