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俺の憮然とした態度を見て、ババ様はニヤリと魔女らしい表情を浮かべた。
「ただし、坊やの特性を考慮するなら、過去の出来事が変動していることについても考えるべきだね」
「過去の出来事の……変動?」
「死の定義を坊やと論じるつもりはないけど、その者の時間の停止を死として定義するものは少なくない。もっとも、眠り姫の伝承を考慮するなら、時間停止の呪術は存在し、時間停止を生命の停止と断定することには……」
「ばあさん、眠り姫の話はまた聞くから、過去の出来事が変動するってことについて教えてくれ」
ここで脱線を許すと、酒場の開店に間違いなく間に合わない。
「まったく、年寄りの昔話はしっかりと聞くもんだよ。まあ簡単にいえば、勇者の時間は停止しているだけだが、それが死んだと見なされている。今もなんらかの拍子で止まった時間が動き出すことがあり、その度に『勇者が死んだ結節点』が改変されているってことだよ」
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