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顔見知り同士の集会ゆえ、ある程度は話の方向性も決まっているはずなのだが。
『……だが、なぁ……』
『まさか……』
ざわめいた集会場からは、いつものまとまりがないように想える。
「みなさん、いったい……」
イツカが声をかけ、会場を見渡した時だった。
「うっ……!?」
その姿を確認した時、奇妙な空気の意味を理解した。
男の姿。それがその正体だった。
村では見慣れない軍服。黒を基調とし、洗練されながらも見た目以上の強度を誇る、強化服。
腰元にぶら下げた刃の柄が、危険な空気を醸し出している。
だが、イツカが驚いたのは、その制服にではない。
「久しぶりだねぇ、イツカ」
「お前、ミナギ……か」
来訪者が、顔見知りであったことにだった。
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