ソウマ

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魔族の中でも異端児と呼ばれ迫害される真っ白な髪をもつ少女。 かといって特別な力も、秀でる技術や知能もないいわゆる落ちこぼれな彼女を、ソウマは部下として相棒に選んだ。 そういった関係は珍しくないが、周囲の者たちは異様な眼差しをむけていた。 そんな中でスオウだけが、面白そうだとニヤニヤしていた。 あれから幾百年後………。 ソウマは一人になった。 愛想も言い訳もなく、滑稽な程ひたむきだった彼女を、ソウマなりに情をもって慕っていたし、彼女もまた慕ってくれていた。 口数の少ない者同士、関係は良好だった。 しかし彼女は種族違いの者に恋をして命を落とした。 一度は警告し、守ってやれないかと考えたが、結局彼女はそれに応じず、命を無下にした。 なんと未熟で無様で愚かだろうか。 しかしソウマには、その愚かさがたまらなく心地よく、愛しかった。 「まさかお前の泣きべそを見る日がくるとはな」 「だまれ。」 長生きすると、色んなことがあるものだ。 涙のひとつも見せはしていないソウマだが、 スオウはそんな悪友の話を、ただ黙って一晩中聞いてやった。 月明かりが煌々と輝く夜のことだった。
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