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「相変わらずですね…」
同族である悪魔の中でも、変わり者と言われるこの男。部屋に篭って何やらやっている(本人曰く実験)らしく、周りからは変態、マッドサイエンティスト等と呼ばれている。
「次は別のものを試してみようか…んん、いいぞ!失敗と同時にアイデアが湧き出してくるぅ!」
普段大人しい彼も、自分の趣味に没頭するとこの様だ。叫ぶ言葉と、手をいっぱいに広げ痛いくらいに背を反らすその様子、そして恍惚とした表情から、メルガディスすらも呆れてしまう。まさにクレイジーというやつだ。
しかし本人は、その事実を全く気にしていない。言いたい奴には言わせておけ、がモットーの持ち主らしい。そのマイペースさがこの男の特徴の一つでもあるが、それだけで悪魔四神にタメ口を許すほどメルガディスは優しくはない。
ならば何故か…?その答えは単純明解。…つまり、この男も悪魔四神を担う一角なのだ。
ともあれ、メルガディスとて呼ばれもしない限り自分からこの部屋を訪ねることはまずない。怪しげな液体、どこのものともわからぬ数々の人形、気味の悪い模型…異質な魔界の中でも、ここはさらに異質だった。
こんな怪しい男なのに、その情報は確かなものだ。どこから情報を得ているのかは知らないが、彼の持ってきた情報に間違いはない。
実際のところメルガディズも、先程から異様な異変を感じていたのですんなり信じることが出来た。
「しかしまた、なぜ人間界に…」
「さあ。魔神様の考えは我々には計り知れんよ。魔神様の子…魔王の血筋を狙う者がいるからと隠れみのにと考えたのかもしれんし、人間界が何か都合がいいのかもしれん」
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