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「あー、もう!毎日勉強勉強勉強!って嫌んなっちゃう!」
「あはは、それは散々だね…」
エルシャは、とある森にいた。澄んだ湖が広がり、木々の生い茂るこの場所が、エルシャはお気に入りだった。
そんなエルシャの隣に、もう一人少女が座っている。年のころは、エルシャと同じくらいであろうか。
「ザーもさ、もうちょっと優しくしてくれてもいいと思うのよ!」
仰向けに寝転ぶエルシャは、口を尖らせ相変わらずふて腐れている。普段はともかく、勉強の時のザーはまるで鬼である。
「ねぇー、ファルニーゼからも言ってよぉ。勉強反対!って」
「いや、さすがにそれは…」
もう一人の少女…ファルニーゼは、エルシャの言葉に苦笑いを浮かべる。セミロングまで伸びた金髪を揺らしながら、困ったように首を振る。いくらなんでも、一介の天使が意見なんて出来ようはずもない。
「だーいじょうぶだって。なんたってクラディスの娘なんだし!」
渋るファルニーゼに、エルシャは大丈夫大丈夫と告げる。
クラディス…神を支える二大天使、その一角がファルニーゼの母親、クラディスである。その力は天使最強と言われ、神の力を受け継いだとはいえまだ幼いエルシャすら及ばない。
そんな偉い位の者の娘の意見なら聞き入れられる。エルシャはそう判断したが、ファルニーゼが思うのは逆である。偉い位の者の娘だからこそ、そんな意見は言えない。エルシャのことを思うなら尚のこと。
「やっぱり、もう少し頑張ってみようよ。ザーさんだって、意地悪してるわけじゃないよ」
「うー…ファルニーゼのスカポンタンー」
希望が潰えた、と言わんばかりにエルシャは口を尖らせた。
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