神様と天使、身分を超えた友情

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「ふふ…頑張れ、エルシャなら大丈夫」 不服そうな態度を見せながらも、友からの言葉に励みを得るエルシャ。起き上がり、持参した鞄から何かを取り出す。 「じゃあ、これ貸してあげる!カブっていう、世界を掌握できる術が書いてあるのよ!」 目を輝かせ説明するエルシャ。手に持つのは、勉強しているものの一つの資料。それには、人間界の"株"についてが書かれている。 「なんだかんだ勉強楽しんでない?」 世界を掌握なんて、きっとオーバーに捉えてるんだろうなと思いつつ、ファルニーゼは苦笑い。神様だけどどこか抜けている、そんな彼女は…私達は、友達だ。 エルシャとファルニーゼ…神様と天使という、身分の違う彼女らが出会ったのは、彼女らがまだ小さかった頃。 その日、今回のように勉強が嫌になって逃げ出したエルシャ。行く宛もないまま、たまたまこの森にやって来た。 そこで、エルシャはファルニーゼと出会った。その頃のファルニーゼも、ある悩みを抱えてここに来ていた。 「でも、思い出すなぁ…ここでさ、私達出会ったんだよね」 「そうね…ふふ、あの時のファルニーゼったら…」 美しい森…今まで来たことがなかった場所に、彼女は感激していた。そこで出会った天使…ファルニーゼは、湖を見つめながら目に涙を溜め必死に何かを堪えているようだった。 「だ、だってあの時は…」 思い出したのか、顔を赤らめるファルニーゼ。 あの頃、ファルニーゼは苦しんでいた。天使頂点に立つクラディスの娘…周りからは、とても期待されていた。 だがファルニーゼは力を上手く扱うことが出来ず、何をやってもダメ。周りの期待は重荷となり、上手く力を扱えない自分自身が嫌になっていた。 彼女は困った時、悩んだ時よくここに来ていた。そこは滅多に誰も来ない、お気に入りの場所だった。 そこに現れた訪問者…神様と天使の出会いの瞬間だった。
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