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ここは、彼女達の出会いの森…名も知らぬこの森を、彼女達は“思い出の森”と呼んでいた。
公には会うことが出来ない。でも、こうして秘密の場所で会える…それは、彼女達に寂しくも嬉しく思わせる矛盾があった。
「でも、いつか…大手を振って、私達が歩ける日が来たらいいな…」
「なら、神様としてもっと偉くなって、そんな日が来るように頑張ってもらわないと」
「うぅ…ファルニーゼの意地悪。はぁあ、世界見守るって言ったり導くって言ったり…わっけわかんない」
悪戯っ子のように笑うファルニーゼ。それを見て頬を膨らませるエルシャだが、次第に笑みを浮かべる。
こうして話しているだけでも、さっきまで感じていた負担が軽くなっていくようだ。
こうして気軽に話すことが出来る同い年の友達…ファルニーゼの存在は、エルシャにとってかけがえのないものだ。
ファルニーゼにとっても、エルシャは自分の弱さを見せることが出来る相手。
共に笑って、時に喧嘩して、仲直りして…まさに、無二の親友がそこにはいた。
笑いあうエルシャとファルニーゼ。そんな彼女達を、影から見守る者がいた。
「…やれやれ、連れ帰るのはもう少し待ちますか」
その笑顔を見つめ、微笑みを浮かべるザーは、そっと囁いた。
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