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「わかったよ、真面目にやるよぉ」
勉強は嫌だが、掃除はもっと嫌だ。嫌なことともっと嫌なことが重なり逃れられなくなったとき、必然的に嫌なことを必死にやることになる。
やるしかないか…と、頭の中に叩き込んだ知識を捻り出す。
「えっと…魔剣デスピア。使い手を選ぶ剣…使い手の負の感情を増大させる。場合によっては使い手を呑み込む剣で、相当の意志がないと剣に自分を呑まれてしまう…と」
「そう。持つ者が持てばあらゆる意味で脅威となりうる剣。もしも、人間がこの剣を手にするようなことがあれば…あっという間に呑まれてしまうでしょうね。その者が強い意志を持っていれば、あるいは…」
魔剣に耐えうることが出来るかもしれない。しかし、エルシャはケラケラと笑い始める。
「やだなぁ、人間にそんな根性ないって」
あっという間に呑まれて終わりだろう。所詮、気の持ちようとはいえ人間は人間だ。
「それより、負の感情って?」
「憎しみや悲しみ…そういったマイナスの感情を持った者が剣を持てば、その力が増幅し破壊衝動を起こしてしまいます。例えば、今の自分にコンプレックスがある…もし悪魔に憧れるような者がこの剣を持ったとしたら。自分が悪魔になるために、それこそ何でもするでしょう」
悪魔に?そんな者が存在するのだろうか。愚かな人間だって、そんなことは考えないだろう。
「そんな奴いないっしょ」
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