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魔界についての知識も、頭に入れておかなければならない。それは悪魔のことを知ることにもなり、もしもの時の対策にもなるからだ。
もしもの時…何だそれバカバカしい、とこの時のエルシャは、深く考えていなかった。
「…うん?ねぇこれ何?“堕天”って…」
書物を読み進める中で、気になる項目が見つかった。堕天…何か、引っかかる言葉だった。
それを聞いたザーは、一瞬ためらう表情を見せながらも…口を開く。
「…堕天。それは、天使にとって最も屈辱的とされるものです。…悪魔に身も心も犯され、そして絶望の淵に落とされた時…起こる現象。天使の純白の翼が、純黒に変わるのです」
「それが、堕天?」
「えぇ…堕天した天使…堕天使と呼ばれます。文字通り、堕ちた天使…悪魔に堕とされるなどと、そのような事態は…一族の恥とさえされています」
悪魔に堕とされる…それが堕天。天使のも悪魔にも関係するこれを、エルシャはスルーすることが出来なかった。
それに…そのような言葉があり、言われているということは…過去に、堕天した天使がいたということだ。
「…いたの?堕天使が」
聞きにくい質問…だが、知っておくなら全て知っておく必要がある。恐る恐る、リーシャは効く。
するとザーは、表情を僅かに悲し気なものに変化させた。
「…えぇ、過去にも何度か。最近のものですと、エルシャ様が生まれる少し前にもありました。…私の友が、堕天したのです」
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