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「過去のことなんていいじゃない、もう終わったことなんだし。今だと…サツジンジケン?ってのが目を引くわね。ただ毎日毎日懲りもせずにやれジサツだやれヒトゴロシだ…って。ったく、人間のことなんてどうでもいいとはいえ、さすがにねぇ。命を何だと思ってんのかしらね。これだから低脳な人間は」
世界の状況を見ていると、毎日起きていることがやはり印象に残る。だがそれが、印象に残らなくていいものが印象に残る、というのは何とも皮肉な話だ。
「それだけではなりません。過去に起きたことを全て把握しなければ」
「キョーリューの絶滅とかは、まあ面白かったけどさ」
それにしたって、興味のある過去とない過去…秤にかければ、興味ない過去が傾くのは必然である。
「今チキューオンダンカとか?イジョーキショーとか?どーでもいいよ、さっき言ったサツジンとかみたいに人間達の自業自得じゃん」
「だとしても、それらを知り人間界のことをより知らなければ。場合によっては星そのものを消滅させリセットする必要もあるのですから」
「えー、めんどい」
神として、あまりに人間の行いが度を超え、星をも破滅させる結果を生むことになるとしたら、その場合は人間、動物等生き物に限らず、汚染された星をも消滅させ、汚れのない状態でまたゼロから始めることになる。
とはいえ、何で人間の都合でこっちが苦労しなければならないのか。
「未来ったって、この先何が起こるかなんて誰にもわかんないよ。人間一人一人に無限の可能性があるんだから」
「だからこそ、今起きていることを理解し、そこから起こり得る未来一つ一つを把握することが必要になってくるのです。それに成長なされば、架空でなく絶対の未来を視る力だって使えます」
「一つ一つの未来って…それこそ無限だよ…」
それっぽいことを言っても、ああ言えばこう言う。エルシャは昔からこの天使、ザーに口で勝てたことがないのだ。
「…あ!ねえザー、このマンガっていうのは結構面白いんだけど!これならいくらでも見れるわ!」
得意げに人間界の漫画を見せ、笑うエルシャに呆れるザー。
「また貴女は…どこからそんなものを」
「たくさんある資料の中に入ってた」
天界は基本人間界に干渉しない…しかし人間界の知識を得るために人間界に関するものを資料として纏め、こうした勉学等に役立てている。
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