天界の生活と密かに起きた大事件

4/8
前へ
/33ページ
次へ
「エルシャ様、それはあくまで人間の娯楽…そんなものにうつつを抜かしている時間はありませんよ。人間界のこともですが、この天界や魔界のこともしっかり学んでいただかないと」 遊ぶ暇などない、とキッパリ言い放つ。あくまで人間界の知識とは、エルシャが学ぶものの中にある一つにすぎない。 人間界だけでなく彼女らが住んでいるこの天界。そして対を成す存在の魔界。この三つの異なる世界の知識を学ぶ必要がエルシャにはあった。 「天界、人間界、それに魔界…うぁあ、やだぁ…」 一つの世界の情報だけでも、膨大すぎる量。それが単純に三倍、学ぶ知識があるというのだ。考えるだけでも嫌になる。 「こんなん無理ぃ。バカんなるぅ」 既にエルシャの気力は削がれている。こんな状態で勉強しても身に入らないだろう。 ザーはそう判断し、軽くため息を漏らした。 「…では、少し休憩しましょうか」 「さんせー!」 勉強漬けの毎日…それにより確かに知識は増えていくが、同時に疲労も増していた。こうして羽を伸ばせる時間がエルシャは好きだった。 「ねぇねぇ、このマンガの続きないの!?」 しかし休憩と聞いた途端、これである。 「休んでいいとは言いましたが、遊んでいいとは言ってませんよ」 「遊んでないしー」 口を尖らせ、ベッドに寝転がる。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加