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タツオは腕につけられた4インチほどの柔軟性のあるディスプレイで、いっせい通信のボタンを押した。
「新しい作戦があるから、みんなに伝えたい。説明は作戦担当の菱川(ひしかわ)少尉だ」
ジョージがヘルメットからさがる自分のヘッドセットに話しかけた。
「東園寺少尉が戦闘中に死亡し、本隊の指揮権は逆島少尉に移った。副官はぼく菱川だ。先ほどの隊をふたつに割る作戦を引き続き進行させる。そのためには逆島少尉がこの拠点を抜けだし、敵の支配地域に潜入しなければならない。これから戦闘地域のLEDボールを消す。消灯時間は3分、2分、1分。再点灯後は2分間全火力を戦闘地域に叩きこめ」
敵をおびきだし、兵力を削りとる。ジョージがタツオにうなずきかけた。
「タツオは3回目のブラックアウトで、戦闘地帯を抜けてくれ。そこで発見されないでくれよ。タツオが撃たれたら作戦は台無しだから」
「わかってる」
タツオは腕時計を見た。戦闘訓練開始から45分が経過していた。
「今から90秒後、最初の消灯を開始する。3分たってLEDが点(つ)いたら全力で撃て」
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