一降り目

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「ふわぁー! もしかしてだけどぉ。小泉さんは雪女さん?」 古屋さんの言葉に、相変わらずぶつぶつと続けている雪音から手を話し、鞄からカイロを取り出して霜った腕を温めながらこたえた。 「古屋さんの言うとおり、雪音のルーツは『雪女』だ」 「ふわぁー! やっぱりぃ! それじゃそれじゃ、小野芳君も?」 古屋さんは感激してるのか、胸の前で手を組み、妙に可愛く横揺れしている。 そのせいか、長い髪が尻尾の様に揺れているのが、ちょっと面白い。 オレはそんな姿を微笑みながら愛でつつこたえた。 「残念ながら、オレは何にもないよ。年の離れた姉さんと、母さんがそっち系だけどね」 オレの言葉に、ほへー、といちいち感激する古屋さん。 本当にオモシロカワイイな、この子。 見ながらそんな感想を思っていると、突然オレの正面先の扉が開いた。 「ああ!? 開ける扉間違えちゃった!」
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