一降り目

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開口一番間違えた宣言を叫ぶ、スーツを着用した女性。 バタンと勢いよく閉めたかと思うと、廊下を走る音がする。 教室中がその音に合わせ視線が動き、黒板側の扉に集まった瞬間、開いた。 よっぽど焦ったのだろう、ものの数メートルしかない距離なのにスーツが乱れ、息が荒い。 まるで、ホラー系ゲームのゾンビのように、ノタノタと教壇へと向かっていくその姿に、教室の誰もが視線を奪われた。 さすがに雪音も気付いたらしく、強制冷房が止まっている。 教壇にたどり着くと、頭が下がりっぱなしのまま息を整えはじめる。 しかし、落ち着いた瞬間、バッと勢いよく頭を上げ、ものっ凄く激しく明るいスマイルで、叫ぶ。 「みんなオハヨー!! 今日からこのクラスのきゃんにんににゃった……」 うわお! めっちゃ噛んだ! 皆から凄いガン見されて、熟したトマトより赤くなってる。
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