一降り目

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ああ、もう、本当に、どうしてそうなった! オレの隣が良いが、古屋さんがいて近寄れない、しかも先ほどオレに怒られ声もかけられない。 何だかんだ全員揃っているようで、次々と座席が埋められていく。 状況は理解しているようだが行動できないらしい雪音。 「はうあああぁぁ」 オレを見つめながら何かよくわからん声が漏れてる。 周りはだいぶ落ち着き始め、立ったままの雪音に視線が集まりだした。 このままではヤバい。 「とりあえず座れ! 席のことは、後でオレがなんとか……」 「う、うわああ! ボ。ボク、つくえをまちがえちゃったよおぉ」 雪音を座らせようとしたオレの言葉に被せるように、古屋さんがやたらと大きな声で言う。 オーバーアクションで「どこかなぁ」と、席を探し始め、数回あたりを見回した後、本来の雪音の机を指差した。
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