一降り目

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まあ、身長の発育は止まったようだ。 一時期あまりの成長速度に抜かれるか!? と恐れた程だ。 だからと言ってオレが低い訳ではない。 170を夢見る160後半である。 まあ、高くもないか。 太ってるつもりも痩せてる気もしない。 腹筋は欲しいけど……。 そんなことを考えながらぼやっとしていると、コイツの声のトーンが低くなった。 「ねえ……、聞いてる?」 おっと、何だか空気が精神的にも体感的にも冷えてきた! 「聞いてるから、続けて」 その言葉に満足したのか、果てしない会話を続け始めた。 俺はそっと、瞬間的に結露した窓を撫でため息をつく。 一学期すらまともに終わる気がしない。 入学式までまだ時間があるのか、担任すら来ていない。 机に擦るように頭を伏せたオレの腕に、ざりっ、とした物が当たる。
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