第1章 序章

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「こんな事ってあるの?」 カラーサンドが描いた人物・背景がより精度を上げて、ついに立体動画のように動き始めた。 自動車の往来の激しい幹線道路の傍らの歩道を制服姿のショートヘアの少女が赤い円筒型のスポーツバッグを肩に背負って 息を上げて走っていく。後ろをチラと振り返ると、白覆面全身タイツのような黒装束を着たSF特撮ヒーロードラマ の雑魚敵のような輩が5,6人で走って追いかけてくる。 それを確認して少女は更に走る速度を上げて、 幹線から左折して小路の商店街に入る。駆け抜けていく商店街の路地からさらに白覆面全身タイツの黒装束 軍団がゾロゾロと追加で飛び出し、数十人の集団に膨れ上がって少女を追いかける。 疾走するシュートヘアの少女は息切れし始めて、減速すると、小路で待っていた同じ制服を着たロングヘアの 少女に肩に背負っていた赤スポーツバッグをバトンのように渡す。 今度は赤スポーツバッグを受け取ったロングヘアの少女が全力疾走で走り出し、ショートヘアの少女は息が上がってしゃがみ込む。 白覆面全身タイツの黒装束集団はしゃがみ込んだショートヘアの少女を完全に無視してロングヘアの少女を追いかける。 追跡ターゲットは赤スポーツバッグのようだ。 ロングヘアの少女は、小路を走り抜けて食品スーパーに逃げ込む。 黒装束集団も一斉にスーパーに突入する。ロングヘアの少女は食品の陳列棚の間を縫って走り抜ける。 黒装束集団に追いつかれそうになり、咄嗟に陳列棚にタックルし、缶詰類を大量に通路にぶちまけて 黒装束集団が缶に足を取られて怯んだ隙にスーパーの通用口を抜けて走っていく。 「ぶあっくしょん!」大きなクシャミと共に目覚めた翔悟。瞬時に金魚鉢の立体映像が霧散し、元のカラーサンドに 戻って鉢の底に堆積している状態に戻った。 (これからいいところなのに、ここで終わりなの?) ***続く
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