投書

3/10
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
二年生、書記の泉光一は、わりとがたいが良い男で、まだ未成年にも関わらず、大人に見られてしまう哀れな男だ。 いや、それ以前に、あまりのがたいの良さとぶっきらぼうな反応から、不良だと思われていることの方が問題だろうか? 本人は気が小さいのに、ちょくちょく不良に絡まれているのを見かけて、何度か助けた記憶がある。 お礼にと、手作りクッキーを持ってきたときはさすがに驚いたが……。 そして、三年生、会計の花園優歌。 彼女は……何というか、食えない人だ。 いつもニコニコ、フワフワ笑っていて、考えが読めない。 そして、怒ったときは……きっと、この生徒会メンバーの中で一番怖い。 言葉で完全に逃げ道を塞いで、その上で痛い所をチクチク…グサグサと攻撃してくる。 見た目はおっとりとした美人だが、絶対に怒らせてはいけない人だろう。 他のメンバーとしては、後、二年生の副会長もいるのだが……その前に私のことも説明しておこう。 私はこの一癖も二癖もある連中のまとめ役を任された人間だ。 成績は常にトップ。 文武両道の才色兼備と言われているが、正直に言って、ただの面倒臭がりなだけだ。 赤点取って補習なんてやりたくないから、勉強を頑張って、健康に問題が出て動けなくなるのが嫌だからスポーツも頑張っただけだ。 面白いとも思っているから、別に苦痛はないのだが……。 そして、出来るだけ目立ちたくないと思って立ち回り続けた結果、なぜか、私はここにいる。 圧倒的多数の推薦によって、生徒会長などという役職についてしまったのだ。 だから、仕方なく、責務をこなしている。 きっと、この経験が社会に出たときに役立つはずだと自分を納得させながら、だが……。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!