投書

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内心で、なぜ、私が生徒会長に……などと思っていると、唐突に、生徒会室の扉がガラガラと開けられる。 「しっつれーしまーすっ、追加の資料だよーん!」 「……あぁ、そこに置いててくれ」 「ほーい、あっ、凛ちゃんと万里ちゃんも来てたんだねぇ」 「すみません、先輩。ちゃん付けはやめてください」 「あっ、えっと……」 ふむ、どうやら、副会長も来たらしい。 来て早々に秋峰をからかっているが……まぁ、いつものことだ。 ここの副会長は、お調子者の坂谷稔(さかたにみのる)だ。 口を開かなければただの好青年なのだが……開いたら、ただのチャラ男でしかない。 今も、若干苛立っている秋峰と、戸惑う不知火を見て笑っているのだから、質が悪い。 「ふふ、そこらへんにして、坂谷君も仕事、しましょうね?」 ただ、花園が一言告げると、坂谷はサァッと青ざめてコクコクとカラクリ人形のごとくうなずく。 前に坂谷が仕事もせずに、他の奴らをからかうだけからかっていた頃、花園が坂谷を引っ掴んでどこかへ連行したことがあったのだが……きっと、そのときに何かがあったのだろう。 それ以来、坂谷は花園の言葉には逆らわないし、しっかり仕事もするようになった。 メンバー全員が揃っての仕事。 そして、そんな中に、ソレはあった。 「これは……投書箱の?」 それは、いじめ防止のため、匿名でも意見を募集できるように置いておいた投書箱からの手紙だった。 この投書箱は案外活躍してくれて、何件かのいじめに対して対策を取ることもできたし、先生方への監視の目としても機能してくれている。 そして、そんな投書に目を通した私は、思わず首をかしげた。
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