投書

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「どぉしたんですかぁ? 先・輩っ!」 投書内容を読んでいると、横から坂谷が投書を見ようと顔を覗かせる。 「ほれ」 男に密着されて喜ぶ趣味はないため、私はさっさとその投書を坂谷に押しつけたが……それを読んだ坂谷も微妙な顔をする。 「これぇ、明らかに生徒会の仕事じゃないですよねぇ?」 「そうだな」 そんなことを話していると、さすがに全員が興味を持ち始めたらしく、チラチラとこちらを伺ってくる。 ……いや、花園だけは、ニコニコしているだけで良く分からないが……。 「投書内容は、旧校舎の調査依頼だ」 「旧校舎、ですか? あそこは一応立ち入り禁止ですよ?」 全員に回し読みさせるのも面倒なので、端的にそう述べてみると、花園からそんな質問が飛ぶ。 「あぁ、ただ、旧校舎に無断で入った者が依頼主の友人だったらしく、旧校舎から帰ってきてから様子がおかしくなったとのことだ」 「……幽霊?」 そう説明をすると、こちらをじっと見ていた泉がポツリと呟く。 「い、泉先輩? ゆ、幽霊なんて、いませんよ!」 そして、そんな一言に案外怖がっているのが、不知火だった。 可哀想なくらい、声が震えている。 ……いや、秋峰も真っ青だな。 どうやら、この生徒会の庶務達は、この手の話が苦手のようだ。 「幽霊かどうかは知らないが、これが事実なら、教師に報告する必要はありそうだ」 「いやいやいや、先輩? 今、大切な部分を意図的に省略しましたよねぇ?」 ……ちっ、余計なことを……。 そうして、坂谷は投書内容を読み上げる。 『これは、きっと生徒会の方々が行われることではないと思いますが、先生に相談しても取り合ってもらえなかったため、相談させていただきます。 私は一年Aクラスの多部エリスです。 今回は、私の友人がおかしくなってしまったことの原因の調査をお願いしたくて投書しました。 友人は、昨日の6月14日に肝試しをすると言って旧校舎に行った後から、様子がおかしくなりました。 ずっと『音がおかしい』と言うのですが、私には何もおかしな音なんて聞こえません。 ただ、どうやら友人は他の人とも旧校舎に行ったらしく、その人達も同じように『音がおかしい』ということを言っているようなのです。 だから、私は旧校舎の調査をお願いしたいのです。 どうか、よろしくお願いします。』
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