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この熱射の中、額に汗一つかかず、表情一つ変えないこの少女に、男性は気味の悪さを感じて「そうかい、足を止めさせて悪かったな」とハンドルを握ると、早々とアクセルを入れて走り去ってしまう。
それから一人取り残された少女とギターケース。
雲ひとつない青い空の下、そよ風が草っ原を掻き分けて彼女の短い髪をさらさらと撫でるように通り過ぎると、そこから微かな潮の香りが鼻腔を掠めた。
ーー近くに海があるのか。
少女ははっきりとしない思考の中考える。
そういえばしばらく何も口にしていない。喉も渇いたし足も痛い。
別に感情がないわけじゃない。人より少し表に出すのが苦手なだけ、と言い訳してみる。あのおじさんにも悪いことしたなと、微塵には思っている。
背中の銃は重いし、仕事はないしーー
そして、ポツリと一言。
「暑い」
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