にぃ。

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ある日、部屋で休んでいると姐さんたちの嬉しそうな声が聞こえてきた。 「今日、来てくれるって!」 「えっ!?本当に!?また会えるなんて嬉しい!」 ……あの人か……。 この界隈では知らん人は居ないほどの有名人で、大きな薬問屋の若旦那。確か名は……。 「あっ!土方さん!」 そうそう、土方さん。役者顔負けの美丈夫で姐さんたちの憧れの的。 ……自分には縁のない人……。 きゃあきゃあ言う姐さんたちの声を聞きながら、重くなる瞼に逆らえず目を閉じた。
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