にぃ。

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今夜もお客さんやそのお連れの人たちに抱かれ、そしてまた気を失った。 「……おい?」 あれ?いつものあの人の声と違う……? 「大丈夫か?」 体を揺さぶられ、意識が少しずつ覚醒していく。 「……誰?」 「気がついたみたいだな」 「貴方は……」 「歳三だ、土方歳三」 あぁ、薬問屋の若旦那……。 「お前は見ない顔だな、新入りか?」 「……いいえ」 「いつから居る?」 「六年前からです……」 「そうなのか?今、初めて見たぞ?」 「……男色限定の芸妓兼男娼ですから、表に出たことありません」 「……そういや、そんな噂聞いたことあったな。そうか、お前が……」 「そういう若旦那はどうしてここに?」 「迷った」 「ここは若旦那のような人が来る部屋じゃありません。早く出ていった方がいいですよ」 「どういう意味だ?」 「そのままの意味です……」
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