いち。

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夜になり、女将さんに連れられて一番奥の部屋へと向かう。 「失礼します」 「来たか、入れ」 女将さんと共に一礼をし、中に入る。 「何だ?女の格好して?」 「ご内密に。と仰られたんはそちらです」 「……そうだったな」 「この子は今日が初めてです。可愛がってやってください」 「ほぅ、初物か。名は何と言う?」 「芸名はありません。そちらでつけてください」 「本当の意味での初物か。……気に入った、こっちに来い」 「へぇ」 女将さんに教えられた廓言葉。使い方、間違ってへんよな? 「それではごゆっくり」 再び一礼をし、部屋を後にする女将さん。 「……ふむ、近くて見るとますます好みだ」 「ありがとうございます」
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