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あすみ
私の名前はあすみ。中学3年生。
双子の妹が居て、名前はかすみ。
私たちは一卵性の双子。
容姿も声も血液型も性別も全て一緒。
生まれて物心ついた頃には同じ顔があった。
驚いた事はない。
そっくりだから、親さえ見分ける事ができない。
尚更、他人に見分けられるわけがない。
。。。
卒業式の日、かすみの下駄箱にラブレターが入っていた。
私たちの顔立ちはハーフ顔だからくっきりしている。
でもハーフじゃない。
おじいちゃんがフランス人、だからクォーター。
そんなこともあって容姿には自信がある。
でも告白を受けるのはいつだってかすみの方。
理由は明確。
男の子はいつだって、『おしとやか』な方を選ぶ。
私は『おしとやか』になれなかったかすみの偽物。
卒業式が終わってその男の子の告白を私が受けに行った。
「ずっと前からかすみちゃんの事が好きでした。」
「私、あすみなんだ。かすみ男の子の怖がってるから…。」
「…そうなんだ。」
「うん、ごめんね。じゃ。」
「あ、待って。あのさ、あすみちゃんさえ良ければ俺と付き合ってくれないかな?顔一緒だし、好きになれると思うんだよね。」
こんな事は1回だけじゃなかった。
偽物でも良いらしい。
「あすみでも良いんだ。
実は私、かすみなんだ。
どっちでも良いってことはさ、どっちも要らないってことだよね?
ま、私たちは君と付き合うなんてないけどね。」
そう言い放つと男の子は泣きながら帰っていった。
入れ替わりに、先生がやってきて、
「よっ!卒業おめでとう!って言いたいけど男の子泣かすなよ…。」
ま、座れと促し渡り廊下の椅子に並んで座った。
「…先生、どっちかわかる?」
「あすみだろ?」
「ううん、かすみだよ。」
「いーや、あすみだな。」
「…どうして、そう思うの?」
どうしてって言われてもなぁ…とタバコに火をつけた。ふぅーと煙を吹いて、
「3年も見てりゃな、全然違って見えんだな。」
気がつくと泣いていた。
この人なら私を明確に見てくれる。
見つけ出してくれる。
そう思った。
「見分けつく人に初めて会った。うれしい。
…ねぇ、時々会いに行っても良い?」
「当たり前。良いに決まってんだろ?」
本物ってこーゆーことだと思う。
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