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エリーゼのために
プロローグ
キキーッッ、ドンッ
小さく静かな街に大きな音が深夜に響き渡った。
1.
中学を卒業してから10年後、あすみとかすみは社会人になり、刑事として働いている。
中学の頃までは仲が良かったが、成長するにつれ、どんどん仲が悪くなり、2人は顔を合わすとギスギスするようになった。
そんな2人は既に結婚していて、あすみの旦那は中学の先生、かすみの旦那は隣の家のお兄さんだった。
結婚したら関係なくなると思っていた2人は、旦那同士が兄弟であったために、縁が切れないと気づき、さらに仲はギスギスしている。
そもそも、仲が悪くなった理由が意見の食い違いだった。
あすみは明確さを求め、かすみは曖昧でも良いという考えで、日に日に喧嘩が多くなり、昔は息ぴったりの双子も今ではボタンを掛け違えたみたいにちぐはぐしている。
おっと、紹介が遅れたね。
僕の名前は小野田悠真。看護師でかすみの旦那。さっき説明したように僕の兄さんは中学校の先生であすみちゃんの旦那、名前は悠人。僕と少し歳が離れてて、僕の自慢の兄さんなんだ。
と、それは置いといて。
今回、僕の職場で事件が起きるんだ。
だから時折、捜査で来る2人を見るんだけど冷戦状態で話しにくいったらなんの…
昔は仲が良かったのになぁ…と思う1週間だったよ。
2.
「かすみー、昨日の夜の事故の件、確認取るために病院行くよ。」
昨夜0時頃、バイクに乗っていた中山敦士23歳が交通事故を起こし、この街で1番大きな病院へ搬送されたと聞き、確認のため2人は行くこととなった。
が、かすみは
「報告書終わったら行けるからちょっと待って。」
とあまり急ぐ様子はない。
「早くしてよね、本当…」
ノロマなんだから と言うと喧嘩になるのであすみは言葉を飲み込んだ。
中学校を卒業して、高校はかすみと同じ神学校に通ったが、意見が合わなくなり喧嘩も多くなったことから大学はわざと別々にした。
それなのに、就職したらかすみも居て今では
『ドッペルゲンガーコンビ』なんて呼ばれてコンビを組まされている。
あすみはそんなことを思い出してはイライラしてノロマなかすみを待った。
「できたよ~。」
「ん、行こう。」
***
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