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「出来ちゃったの!?頼子さん」
「うん。3ヶ月だって、芳佳ちゃん」
赤ら髪の芳佳は、ビニール傘を投げ捨て頼子の手をにぎにぎしてジャンプする。
頼子の艶々した黒髪は、光沢感があり上品だった。
「おめでとう!頼子さん、赤ちゃん欲しいって言ってたから嬉しいなって」
「本当は嬉しくなかったりする、芳佳ちゃん?」
「……なんでわかるの、頼子さん」
「……」頼子は黙る。
「嬉しいって言葉じゃ、言い足りない位嬉しいの!」
「芳佳ちゃん……」
「あ、頼子さん。赤ちゃん産むなら、お母さんになるの?」
「なる予定だけど、もうなってるでしょ……芳佳ちゃんのお義母さんに」
「そういえばそうだった。お父さん頑張り過ぎなんだから」
同級生の頼子が、父と結婚して半年が過ぎた。
色々思うことはあっても、現在の芳佳は、雨上がりの快晴と同じ、軽やかで爽やかな気持ちだった。
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