夏休み前哨戦!

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夏休み前哨戦!

梅雨明けも夏休みももうすぐ。そんなある日の帰り道、背後から楽しそうな声が聞こえてきた。 「お姉ちゃん、やった! 私やったよ! 今日アイツの誕生日で、思い切って告白したの……OKだって!!」 「本当!? やった~、これで夏休みみんなで遊べるね~!」 「Wデート!! バーベキューに海に花火!」 振り向けば評判の美人双子姉妹。黒髪の秀才姉と金髪ポニテのスポーツ万能妹。そして噂通りならお相手は多分、バスケ部キャプテンと生真面目生徒会長。ちぐはぐな、でも間違いなく美男美女カップル。 私なんて、隣の席の冴えない男子に冴えない恋しか出来ないのに。 二人は雨上がりの紫陽花と太陽みたいにキラキラしていて、私は遠くの雨雲みたいだった。 でも、うつむいた先に見えた水溜まりには七色の── 「……。 私も……頑張ってみようかなあ」 高校最後の夏休みまでまだ一ヶ月。 まだ間に合う、これは前哨戦。
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