0人が本棚に入れています
本棚に追加
夏休み前哨戦!
梅雨明けも夏休みももうすぐ。そんなある日の帰り道、背後から楽しそうな声が聞こえてきた。
「お姉ちゃん、やった! 私やったよ! 今日アイツの誕生日で、思い切って告白したの……OKだって!!」
「本当!? やった~、これで夏休みみんなで遊べるね~!」
「Wデート!! バーベキューに海に花火!」
振り向けば評判の美人双子姉妹。黒髪の秀才姉と金髪ポニテのスポーツ万能妹。そして噂通りならお相手は多分、バスケ部キャプテンと生真面目生徒会長。ちぐはぐな、でも間違いなく美男美女カップル。
私なんて、隣の席の冴えない男子に冴えない恋しか出来ないのに。
二人は雨上がりの紫陽花と太陽みたいにキラキラしていて、私は遠くの雨雲みたいだった。
でも、うつむいた先に見えた水溜まりには七色の──
「……。 私も……頑張ってみようかなあ」
高校最後の夏休みまでまだ一ヶ月。
まだ間に合う、これは前哨戦。
最初のコメントを投稿しよう!