第1章

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果たして、お客様はいつもの窓よりの席に居られた。 「佐竹さま、今回は本当に申し訳ありませんでした」 テーブルから一歩離れた場所で最敬礼。いつもお世話になっているお客様なだけに、とりわけ心を込めてお辞儀した。 すると返ってきたのは驚くべき言葉だった。 「なんのことかな?森永さん」 打たれたように顔を上げる私に、佐竹さまは追い討ちを…ではなく優しい言葉を続けざまに掛けてくださった。 「森永さんの紹介してくれる商品は出来がいいからね。それに森永さんは真面目で優秀。一度の遅刻くらいで商談をなかったことにしたりしないよ。本社には、ちょっとした行き違いだって言っといたから」
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