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さっきまでの憂鬱な雨が、嘘のよう。
雲は残っているけれど、きれいな青空が広がり始めている。
私は友達と別れて、水たまりを避けながら、ぬかるんだ道を歩いている。
すると……視線の先に、傘を広げたまま立っている人影が見えた。
B(雨、上がったのに)
制服は見慣れた、自分の学校のものだけれど。
A「久しぶりだね、由美」
B「えっ……?」
近づくと、その人は私に声をかけてきた。
視線を向けて、傘を上げた相手の顔を、ちゃんと見る。
B「ぁ……もしかして……明美? 明美なの!」
A「久しぶり!」
ばっと手元の傘を放り投げて、明美は私へとジャンプ。
大きな水たまりを勢いよく飛び越えながら、満面の笑顔。
A「ただいま、由美!」
子供の頃とは違うのに、そんな姿は、あの頃の明美とそっくりだった。
雨上がりの心地よさとともに、私の心は、再会の喜びにも満たされていた。
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