七、幸せの余韻

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良く見れば、品種の違う薔薇も交じっていたから、本当にがむしゃらに千本集めてくれたんだと思う。 「それは、高価な物でもなく流行りのブランド品でも無く、彼の気持ちが一番嬉しいと思う、貴方の美しい心が映し出された答えだと思いますよ」 「……キースって、私より複雑な日本語使えるよね」 照れくさかったけれど、キースにそう言ってもらえて胸が擽ったい。 「今さら惚れても、遅いですからね」 お茶目なウインクをしながらキースが得意げに言う。 確かに。 本当のお姫様にはなり損ねたんだから、遅い。 でも後悔はしない。 それほど、巧は私がずっと思っていた相手だから。
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