七、幸せの余韻

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荷物のチェックも終わり、オーストラリア行の便の乗車案内が響く。 「それでは、次は仕事で」 「ええ。タヌキ二人を宜しくね」 遅れてきた副社長と巧がすぐにキースの元へ駆け寄り、手を握って別れの挨拶をしている。 その後ろに何故森元さんがいるのか本当に理解に苦しんだけれど、この雰囲気の中では我慢しておいた。 「……では、シノ。お幸せに」 挨拶で手を伸ばされ握ると、そのまま強引に手を掴まれ、キースの唇まで持って行かれた。 柔らかく、熱を帯びている唇で手の甲をキスされると、ポカンとしている私に目を細めて笑いながらゲートの方へ、優雅に去っていく。 「……英田秘書」
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