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「は?別に特別よくはないと思うが」
そういえばさっき風帝にも言われたな。
……何なんだ?
「あんだよー、無自覚かよー」
「傍目から見りゃバレバレだっつーの!」
「ホッホ…青春じゃの」
「……何の話だ?」
ここ最近感じていた胸の内の正体不明の靄が一層激しくなる。
だんだん苛々してきた。
「おいイルト……おめえそんな事だと盗られちまうぞ?」
「何をだよ」
「そりゃ決まってんだろ。ユーーーーモガッ」
「まあまあオード、こういうのは自分で気付いてこそだろう?」
話の流れからして盗られるのはアヤセか?
だがアヤセは別に俺のものではないし……ああでも。俺のものになったのなら。
「!?……今一体何を……」
駄目だ。ここ毎日見ているからか、気を抜くとアヤセの顔が脳裏にチラついて気が散る。
「俺は一体どうしたんだ……」
* * *
「青春だな」
「青春かぁ…」
「青春だね」
「青春じゃのぉ…」
百面相する若人を先人達は生暖かい目で見守るのだった。
* * *
奴隷達には料理を仕込み中なので、あたしが自分で作った。さすがに人数も多いし、ルテにも手伝ってもらって。
魔闘大会前に一度アミナが手伝ってくれた事があるのだが、暗黒物質を大量生産されたのでキッチンは立ち入り禁止にさせてもらった。
今は、アミナ達はとうに部屋に引っ込んで早めの休息を取っている。
大人達は食堂で持ち寄ったアルコール片手に駄弁っていた。
「それにしても凄いもの創りましたねユウちゃん、水晶の城なんて」
「創造魔法ってこんなもの創れちゃうものなの?」
「それが、自分でもなんで創れたのか分からないのよね」
「なんじゃそりゃ」
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