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「ところでユウ、覇帝には正体を明かしてないの?」
水帝、リリナさんがつまみのチーズを口に放り込みながらあたしに尋ねる。
「覇帝は…知り合いだから、あのキャラ作りをした後に顔出しすると面倒なのよ」
「あー、あいつ女に幻想抱いてそうだもんなあ。『僕のユウがそんな奴なわけない!』とか言いそうだ」
「まあそんな感じよ。あいつあたしの事自分のものだと思ってる節があるから。
…?イルトさん顔怖いですよ?」
美形な分怖い顔をすると迫力ありますね。
だが全帝にその自覚はなかったようで、普通の真顔に戻り顔をペタペタ触りだした。
「……そうか?」
「疲れてるんじゃないですか?大丈夫です?」
「いや、疲れてはいないが……」
「ユーウ、何でイルトにだけ敬語なの?」
闇帝、レナリアさんがニヤニヤ笑いながらあたしの頬をつついてきた。
「んー…先輩だから、かしら?なんか敬語で定着しちゃってるのよね」
「この際だから敬語やめちゃいなさいよ!」
あ、リリナさん酔ってるな。
「いやあ、ファンクラブが怖いから無理ね」
「あー、まだファンクラブなんて伝統あるんだねぇ」
ギルマスが苦笑した。
多分、ここにいる面々はファンクラブを作られる側だったんだろうな。
ふと全帝を見ると、少し渋い顔をしていた。
彼も命を預ける同僚に敬語を使われるのは嫌なのかもしれない。でも、学園で会長と風紀委員長の次に大きいファンクラブを敵に回したくないので、勘弁してください。
そうして他愛のない話をしながら、夜は更けていった。
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