第20章 臨海学校

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「おーら並べー……くっそ頭いてぇ」 昨夜の飲酒が響いて二日酔いのイト先生が顔を顰めながら生徒を促す。 「イト先生二日酔いかよ。教師の風上にも置けねえな!」 「だらしないよねえ」 とラインとロイが頷き合っているが、昨夜「大人の時間だから」と言って彼らを追い出した帝達の中にイト先生がいたなど思いもしていないだろう。 帝バージョンのイト先生ってあんまりだらけてないし。 あんまりってだけでちょいちょいグータラさが滲み出てるけど。 「人数が多いからしょうがないけど、馬車じゃなくて【転移】ってあんまり旅行って感じしないよねー」 5年生、240名が転移魔法陣に乗って消えるのを眺めながらアミナがぼやく。 「でも大人数用の馬車は尻が痛くなるから快適さではやっぱり【転移】だろ」 「馬車乗った事ないわ。不便なの?」 あたしが尋ねると、ロイ以外の4人が深く頷いた。 「ケツがな、めっっっちゃいてえんだ」 「王族や上級貴族の乗る馬車はいくらかマシだけどな」 「あとね、酔う人は酷いもんだよ」 「…………吐いたら……迷惑だから、余計…辛い……」 「なるほどねぇ」 あんな狭い空間で吐いたら確かにかなり迷惑だわ。 「ところで、あの魔法陣誰が設置したんだ?」 魔法陣、それも大規模転移魔法陣だから設置にはかなりの手間と技量が必要になる。 それこそ、学園の教師では無理なくらい。 「全帝と《魔神》よ。すごい大変だったらしいわ」 「あー…やっぱそのレベルになるんだね」 本当大変だったよ。魔石入りの白チョークに魔力流して一気に操作するの。 あたしが現地、全帝がここに魔法陣を設置したんだけど、集中力ごっそり持って行かれたし。
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