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ルテの背中から腕に掛けて、黒い刺青のようなものが入っているのだ。何か複雑な紋様なので意味はあるのだろうが。あとサングラスを掛けているので、そっちの筋の人にしか見えない。
現に客に距離を取られてるし。
「そう言われると思って!じゃーんTシャツ!」
もそもそと着込みだすルテを見て、呆れた声が零れる。
「何で最初から着てないのよ」
「俺の鍛え上げた筋肉をお披露目しようと思って!」
確かにいい体してたけど刺青のインパクトありすぎてそれどころじゃなかったわ。
「セラフィムは大丈夫?ちゃんと食べてる?」
「食事提供してるの夕ちゃんだろー」
「そうだけど……薄いから」
胸板が薄い、腰が薄い、肩幅もあんまりない、極めつけに色素が薄い。
「この身体は10代後半くらいだから筋肉なくてもそこまで違和感ないだろ?」
「こいつ、筋肉付かねえ体質だから大人の身体にすると貧相なの気にしてこの見た目なんだぜ」
「余計な事言うなルシファー」
そうなんだ。
そういやロイも筋肉ないの気にしてたな。
「うむ。筋肉は大事だぞ」
「俺よか筋肉付いてるもんなオリジン。チクショー……」
ていうかね、何でわざわざここで筋肉談義してるのって話だよね。
「確かにね。せっかく海来たんだから遊ぼうぜ!」
「アミナ達がとっくにあっちで遊んでるわよ」
「混ざってくる!行くぞ!ルイ!」
「え、わ、ちょ!?」
セラフィムがルイの腕を引っ掴んで走り出した。オリジンはその後を悠然と歩いている。
ビーチの男達の視線がオリジンに釘付けで、パリコレか何か?と訊きたくなる。
「ルシファー、あなた日焼けした方がいいんじゃない?」
「あ?俺ぁ焼けねえ体質なんだ、ほっとけ」
ルシファーも日焼けすると赤くなって痛むだけのタイプか。
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